つばくろの

バイトの中学生なるが店主に向かいて親の不平鳴らしある精肉店
つばくろの二羽帰りたる巣のありし
店の女将の笑みをもてその言葉と思いの激烈なるをたしなめるを聞きつ
トンカツ三百円を二枚買いし
めんちところっけの売り切れたるがためなり



スーパーにてレトルトのカリーを購入し歩きおるに
前よりまた別の中学生自転車漕ぎながら携帯に
「自分はなんでおれにそんな話ができるんや」
ぬらりとした非難の声が後をひきつつ遠ざかりおり


カツカリーを老いたる二親に勧めたるも
不要とぞ
バラエティー番組の「寒い」とはいかなる意味なるやと問われ
答える前に「何故に分からぬか」問うたるに
予想を超えたエモーショナルな父の反発に
黙し、ひとりだけカツカリー


「すべらない話」見つ
我も日本語学校にて見聞したるあれこれを
書かざるを得ずとぞ気の強まれリ
今時の大きな活字と行間すかすかの書物なれば
一冊分の材料はたっぷりなり


昨日は西洋人英語教師と「坊ちゃん」を読めり
「坊ちゃん」はカリカチュアとは言え
今日にも実感をもちて嘆かわしかる 世の
縮図として傑作なり すらすら読めリ
また幾ばくかのカタルシスはありしが
そのエフェクツは今の我には弱まれり
しかしながら「わんわん鳴けば犬も同然のやつ」とは
げに痛快なり


一昨日は、
日本語教師志望の大学生の相談に乗りしが
ネガティヴな話が多かりし
申し訳なし


占いは当たらざる
あたかも 占いが当たらぬことを証明せんがためだけの
人生なりせば 甲斐なきものならんや


自ら行いし予言は依然として 的中し続けなり
あたかも 予言の成就すべきことを確認せんがためだけの
人生なりせば これもまた